木曜日だった男-一つの悪夢 チェスタトン

 
チェスタトンは20世紀前半に著作をのこしたイギリスの作家です。
 
この人は新聞や雑誌にエッセイや書評を寄稿したりもしていて、批評家としても有名です。
 
今回はそのチェスタトンの作品『木曜日だった男』を読んだので感想とかをメモ。
 
 
どんな内容かというと、
 
ロンドン郊外で2人の詩人が出会う。1人は無政府主義を信仰する詩人グレゴリー。もう一人は法秩序の詩人サイム。
2人は意見の食い違いから口論になり別れるが、ほどなくして酒場で議論を再開することになる。
 
その酒場で自分が無政府主義者であり、無政府主義中央評議会の一員であることをサイムに明かす。そして、酒場の床が抜け無政府主義中央評議会の秘密基地へと場所が変わり、「曜日」を名乗る無政府主義者たちの世界転覆計画に巻き込まれていく...
 
 
と、すでにネタバレもしてしまった気もするけどこんな感じです。
 
読んでいて思ったのが「日曜日」の存在感が印象的だったこと。
 
評議会の議長であり、体が普通の人の何倍も大きく、評議会の他のメンバーから酷く恐れられていた。彼は組織を手中に収め牛耳っている。本人が目の前にいるならともかく、いない時でさえ日曜日によって抹殺されてしまうことを恐れていた。
日曜日本人の発言よりも周囲の日曜日を恐れる発言のほうが多かったように感じられたから、自分のなかでも全体像が見えなくてわからない分日曜日がどう動いてくるのかといったことが読んでいて楽しみでした。
 
 
次に、展開が僕の予想とは逆にいったなーという感想。
 
ラスト2,3ページのオチ(夢オチ)完全に死角でしたね。
序盤の2人の詩人が会い議論する辺りや評議会のメンバーが地下の秘密基地で会議する辺りはシリアスな海外映画のような雰囲気。なんだけど、進んでいくにつれてコメディの要素が入ってきます。そして最後にはシリアスな要素の欠片もなく評議会の面々と日曜日で追いかけっこしたり、仮面武道会に行ったりしています。こうした流れを作れるのはお見事ですよね。でも僕は終盤にかけての展開が早く一回読んだだけでは追いつけなかったです。シリアスな展開の小説なんだと思い込んで読み進めていたんでそういった展開じゃなかったのは少し残念だなぁとか感じちゃいました。
 
でも『幻想ピクニック譚』と帯で紹介されているので、そういったものとして読むのはオススメです!

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あと、訳の文章もいいです。一読の価値アリの作品でした。